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役員給与の損金算入と金額の改定

2011/10/14

法人税では、役員が受ける給与については、退職給与と3種類の役員給与を損金算入される給与とし、これに該当しない給与は損金不算入と定めています。

 

退職給与以外で損金算入が認められる役員給与は、①定期同額給与、②事前確定届出給与、③利益連動給与です。

 

このうち、利益連動給与は、上場会社等が有価証券報告書等でその算定基準等を明らかにした上で支給されるものであり、一般の法人になじみがあるのは定期同額給与と事前確定届出給与に限られることになるでしょう。

定期同額給与は、その支給期間が1ヶ月以下の一定の期間ごとで、支給額が同額である給与とされています。

いわば役員の毎月の給与が該当することになりますが、期の中途で支給金額の改定が行われた場合には、改定の前後で金額が異なることになりますが、一定の場合に該当する改定であれば、金額が異なっても定期同額給与として損金算入が認められます。

 

損金算入が認められる改定には、定時改定と臨時的な改訂があります。

定時改定は、株主総会で役員の給与を改定する場合等を想定したもので、事業年度開始日から3月(保険会社は4月)経過日までに改定がされた場合が該当します。

 

臨時的な改定は、たとえば取締役が代表権のある取締役になった場合などのように、期の中途で役員としての地位、職務内容が大きく変わった場合の改定と、業績が著しく悪化したことによる改訂があります。

 

一方、事前確定届出給与は、事前に所轄税務署長に支給金額と支給時期を届出る給与で、いわば役員の賞与に相当します。

届出は、株主総会等で支給金額と支給日の決議をした日から1月を経過する日、または事業年度開始日から4月を経過する日のいずれか早い日までに行うこととされています。

 

事前確定届出給与に関しても、一定の場合には、届出金額の変更をすることができます。

役員としての地位、職務内容が大きく変わった事による金額の変更や、業績の急激な悪化による改定であります。

東日本大震災の影響で業績が急激に悪化したことによる金額の改定なども、正当な理由と認められることとなります。

 

改定後の支給金額を損金算入するためには、改定の決議をした日から1月を経過する日までに、所轄税務署長に改定後の金額を届出ることが要件となっています。

改定後の事前確定届出給与の支給日が、改定をした日から1月を経過する日よりも早く到来する場合には、支給日の前日までに届出をすることが必要です。

 

なお、定期同額給与を支給しない非常勤役員等に年に1回あるいは2回支給する給与も事前確定届出給与に当たりますが、法人税法上の同族会社に該当しない法人が支給するものは届出が必要とされません。