人から「悲しみ」が失われている。そんな大胆な仮説を、米デトロイト工科大学(DIT)で人工知能の研究を行っているアッティカ・ブラウン教授が明らかにした。
「通常、悲しみの感情は、進化的に古い脳である大脳辺縁系の扁桃体と呼ばれる領域で生み出されるということが、これまでの研究から明らかになっているのですが、これらの被験者のなかには、悲しいという感情を本人が想起しているにもかかわらず、まったくこの部位が活性化しないという人がいるのです。代わりに、どちらかというと性的な昂りに近い分野が活性化されるのです」
本来の感情野が退化しはじめているということがおこっているのかもしれません。自分をよく見せようという意識が、感情の捏造に留まらず、モラルやマナーの低下を引き起こすのではないか、とわたしは危惧しています」
「悲しみという感情を失った人が、どういう『人』として、どんな行動をするのか、まったくわかりません。そこが怖いところです。悲しみを失った人たちだらけの世界に住みたいと思いますか? それは音楽のない世界でもあるのです。世の中エイプリルフールのごとく捏造された情報ばかりがはびこることにもなりかねませんね」
わたしたち人間は自分たちが思っている以上に「感情に影響を受ける動物」です。だから、「好きな人・尊敬する人・信頼している人」から何か指摘を受けたとき、みなさんはどう思いますか?…少なくとも、不快にはならない、むしろ素直に聴けるでしょう。
一方で、「あまり親しくない人・苦手な人」から指摘を受けた場合は「こっちの事情をよく知らないくせに、あなたには言われたくない」などと、反発したくなるかもしれません。
気持ちは、言葉は伝わらないのです。
どうやっても。
それでも、毎年繰り返される出来事。
クライアントサービス部:荒巻